異世界への交信

しばらく前に、車が壊れました。
「もうダメだ」とレッカーを呼んで、引き渡すために駐車場から車を出したところの公道で動かなくなった、大往生でした。

 

 

私はその後思い出して、バッグに入れっぱなしだった、「その車のリモコンキー」を出しました。

ふと、ボタンを押してみました。

もうどこへも繋がらないリモコンキーのLEDは虚しく光ります。
でも、届いているような気がしました。

やっぱり頭のなかに描いてしまう、虹の橋を渡った向こうの世界。
私が袖すりあったみんなが、笑顔でいる世界。
地面に近い場所には犬たちがいます。
その奥には、車もいてもいいかもしれないなあ。

 

 

著作権があるのでブログには全文を書けないのですが、
詩人の「石垣りん」さんに、
「幻の花」
という詩があります。
ネットで調べたらいっぱい記事があって、本文で16行くらいの詩でした(調べたらあるんかーい)。

初めてこの詩を読んだのは、1979年なのでまだ高校生でした。
3~4年前の従兄弟の家での法事やその従兄弟のお葬式では、この詩を思い出しました。
繰り返し響く「りん」の音に、父や伯父たち、伯母さん、写真でしか覚えていない祖父、祖母が遠近法で脳裏に浮かびました。

そうして別れる
私もまた何かの手にひかれて。

石垣りん「幻の花」から引用
茨木のり子「詩のこころを読む」所載

 

 

思いがけずこの「リモコンキー」には、故人を思い出し偲ぶ法事の効用がありました。

そして、
「いや、私はまだ生きていたいぞ」
と思った機会でした マル。