二ノ宮知子著「七つ屋志のぶの宝石匣」を読んでいます

こんにちは。
今日のブログは、最近2度目を読み終わったマンガ
「七つ屋志のぶの宝石匣」
について書きます。
作者は、のだめカンタービレで有名な二ノ宮知子先生です。

以前に2〜3巻まで読んで放置していたこのマンガを急に読む気になったのは、テーマが「宝石」だからです。
私の最近のブームのひとつは、流れ流れて「石」なのです。
何か感じるところがあるかもと思い、読んでみました。

 

 

「七つ屋志のぶの宝石匣」は既巻が13巻まで出ていて、14巻が2021年7月に出る予定です。

主人公は、女子高生の「倉田志のぶ」。
志のぶは代々続く実家の質屋の手伝いをしています。
とはいえ宝石を見る目は一流で、宝石に関してはほとんど任されています。

もうひとりの主人公は、有名宝石店のイケメン外商「北上顕定(きたがみあきさだ)」です。
名家北上家の大事な跡取りながら子供のときに質屋に預けられて質流れになったという特異な経歴があります。

当時の質屋の店主だった志のぶの祖父が、当然顕定を連れて店にやってきた顕定の祖母から、「期限の3年が過ぎたら(生まれてもいない)孫娘と婚約させる」約束で顕定を質入れしました。
預けた祖母は3年経っても顕定を迎えに来ることはなく、顕定は質流れ品として倉田家で育ち大人になり現在に至ります。

北上家は火事で焼け落ちて顕定以外全員行方不明で、顕定はこっそりその謎を探っています。
宝石の気を感じる特技がある志のぶや、宝石店を営む久世、謎の宝石バイヤー虎徹がサポートをして、巻を追うごとに少しずつ謎が解けていきます。

 

二ノ宮さんらしい笑えるエピソードや、それぞれの才能を発揮する登場人物の痛快な活躍に、私は久々に心躍りました。
同一の作者の方のマンガを複数読むと、パターンは同じでがっかりすることがあります。
顕定はイケメンで頭が良く、「のだめ」の千秋様であり、「天才ファミリーカンパニー」の勝幸であり、「GREEN〜農家の嫁になりたい」の誠に重なります。
でも、思い返せばやっぱりみんな違う。
ヒロインもそれぞれ違い、みんな違う性格で、頼もしいのです。

また、主人公たちと周りの方々の交流がよいです。
志のぶの高校生活での友人とのエピソード。
志のぶや顕定が暮らす地元商店街の仲間や同業者とのやりとり。
志のぶや百合江と、大事なものを預けに来るお客様とのやりとり。

特に私が好きなのは、当たり前に宝石を所持し購入する良家にうかがって、家族ぐるみで丁寧な対応をする高級宝飾店の外商としての顕定の顔です。
顕定は名家の嫡男であり、ある意味形見の狭い質流れ品でもあり、イケメンエリート外商であり、年の離れた志のぶの許婚者であり庇護者です。
その中の一つの顔として、誠実にお客様対応をする顕定の姿に惚れ惚れし、ときに泣いてしまったりするのです(お寿司屋さんの話の回は泣いた)。

 

あと、このマンガは私の好きなパターンのひとつ、「天才」「痛快」ストーリーでもあります。

志のぶは宝石の気を読み取り、研究所でも見抜けないようなフェイクに違和感を感じてしまう天才です。
悪い気を放つ宝石を持ち込む老若男女を、追い払います。
志のぶの母の百合江もまた、ブランド品を見る目は一流です。
百合江がメルカリ転売ヤーの女性とやり合う回が、そしてそのラストが、私は好きでした。

 

 

で、結局このマンガを読んで「石」について
「何かを得られることがてきてよかった」
という実感があるわけではありません。
説明的ではないので、ことさらに感じないのです。
ただ、これまでただ「光ってきれい」「色がきれい」くらいにしか価値を感じなかった宝石について、考え方が変わりました。
金にしても銀にしても宝石にしても、過去からの贈り物なのですね。
そして、のだめの時の音楽のことのように、静かに自分の中で特別な興味の一室が開かれる感じがします。

 

 

さて、このブログを書くに当たりまた3回めを読み直していたら、新たに気づくことがいろいろありました。

細かいことは忘れた上での私の結論として、二ノ宮知子先生のマンガは
「厚い」
と思いました。

のだめも、七つ屋志のぶも、どの作品も。
取材が厚く、また産み出す二宮先生のヒューマンスキルが厚いんじゃないだろうか。
取材の結果は説明的ではなくさりげなくストーリーをサポートして、二ノ宮さんの優しい目が大勢の登場人物に命を吹き込んでるなあと思いました。
初期の「飲みに行こうぜ!!」や「平成よっぱらい研究所」の楽しさを思い出し、作者の内面に厚みがあり愛があるからこそ作品にも厚みが出るのではと、僭越ながら思った次第です。

読み直していても次へ次へと読みたいのでメモを忘れてしまって、結局書きたかったことは書けませんでした。
もう一度このマンガについて、いつかゆっくりと書きたいと思っています。

 

 

最近知ったエピソードです。
随分と前に、二ノ宮先生が
「『音楽物』と『質屋物』とどっちにしますか?」
みたいなことを担当編集さんに聞いて、編集さんが「音楽」を選んで始まったのが「のだめカンタービレ」だったと聞きました。
後からの映像化のことも併せて考えると、順番として正解だったなあと思います。
これが逆なら、あの上野樹里さんの「のだめ」は生まれていません。
良質なドラマが、二ノ宮さんの才能をより早く、広く世に知らしめることになりました。

思えば結構二ノ宮さんのマンガを追いかけてます。
書きながらまた刺激されてしまいました。
これも2〜3巻で休んでいた「87CROCKERS」が完結していることを知り、また読まねばという気になりました。

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(そして安くなるチャンスに読もう)

二ノ宮さんのマンガは何度も読みたくなるから結局コスパ高いです。
ほんとに。
そして読み終わって幸せになれるから、一層コスパ高いです。
おすすめー!