祝🏅「アシガール/森本梢子 著」完結

こんにちは。
今日ご紹介するのは、以前に「高台家の人々」でご紹介した森本梢子先生の
「アシガール」
です。
この2月に16巻が発売されて完結しました。
以下は多少のネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

以前にはこちらのブログで、アシガールのこともチラッとご紹介しました。

私がかなり好きなマンガ「高台家の人々/森本梢子 著」をご紹介します

「アシガール」もNHKでドラマ化されて大人気でした。
現在も連載が続いていて、私は続刊を追いかけています(最新刊は13巻です)。
この「アシガール」は、「足軽」と「女の子」、の意味がかかっています。
足だけは早い「唯」が弟の作ったタイムマシンでうっかりタイムスリップしてしまいます。
足軽の姿で美しい若君に出会って恋をし、なんとしてでも若君を守ろうと頑張るというお話です。
脇の戦国じいちゃん連など、魅力的なキャラクターがいっぱい活躍します。
また作中には、おそらく熊本城がモデルの「黒羽城」が出てきます。

当ブログの2020年1月19日投稿から引用

「うっかりタイムスリップ」から、運命の人である美しい若君「羽木九八郎忠清」を守るために、主人公の唯は何度も今と昔を行き来します。
場合によっては、若君その他の人をいきなり現代に送り込んだりもします。
逆に、タイムマシンを作ってしまった天才弟の「尊」が戦国時代に行くこともあります。
私がアシガールで一番好きなのは、その異文化に触れた人々のエピソードです。

4巻から5巻にかけて、瀕死の重傷を負って一人現代に飛ばされた若君は、唯の弟「尊」の元に現れ、尊は姉の無茶振りに驚愕しつつ救急車を呼びます。
目覚めた若君は慌てず騒がず唯の弟と名乗る尊の話を聞きます。

ここは若君の時代から450年後の世、という尊の話は
「奇怪な話」
であり、
病院の廊下を歩く先生や看護師さんは
「白装束の胡乱(うろん)なやから」
です。
しかしさすがの若君も、初めての車に乗ったらその速さに固まります。

2ヶ月の現代生活を終えて若君が戦国時代に帰るときに唯の母に持たされるのは、若君の好物となった
「れんこんのはさみ揚げとアーモンドチョコレート」
です。
若君は既に命はなかろうと泣く家臣の元に突然現れる若君はパーカーとジーパンにバッグを斜めがけのにーちゃんで、家臣は
「その奇態なお姿はっ…」
と驚きます。
尊が唯に書いた手紙には、隠し撮りした
「若君が尊の高校の制服を着て唯のベッドに肘を曲げて頭を支える姿勢で寝転がりジャンプを読んでいる」
という写真が同封されており、唯は
「ズルい!!こんなのっ私も生で見たいよー!!」
と悶絶します。

 

 

唯と話す若君は、現代での生活を
「なかなか愉快であった」
と振り返りました。
そしてそのしばらく後に、憎まれている腹違いの兄へ
「羽木家の跡目 兄上にお譲りいたしとうござる」
と切り出した際にはその理由として以下を語ります。

夢を見ました
戦のない
泰平の世の…
親子 兄弟が
むつまじく暮らす
後の世の夢でござる

もう
戦をしとうは
ないのです
兵を死なすのも
敵を滅ぼすのも
嫌でござる

アシガール 5巻から引用

こうしてこの言葉を転記しながら私は
身の回りを思い、
テレビで流れてくる悲惨なニュースを思いました。
薬師丸ひろ子さんが自ら作詞して歌っている「アナタノコトバ」
の
「争いのない世界なんてない それでも
それでもそれでも
今日を良く生きよう」
という曲が頭に流れます。

頭がお花畑と言われても、やはり私は戦いのない世の中であってほしいとシミジミしました。

 

 

さて、今回はアシガールの中で私が心を惹かれたほんの一部を切り取ってご紹介しましたが、アシガールはこんなんじゃないんです。
笑える、ワクワクする、若君のかっこよさにトキメキます。

そして最終巻は、既に何度も読み返した密度の濃い巻でした。
森本先生は、1巻のあとがきでタイムスリップ物の難しさを話され、

「で、思いついたの。フトンの中で。
特に斬新なわけじゃないけど 私らしい結末を。」
「それで、このマンガを描きたいと思ったのでした」

アシガール 1巻あとがきから引用

と語っておられます。
初版発行の2012年から約10年、素晴らしい名作として完結して本当にめでたいと思いました。
マンガ原作はいろいろ難しいけれど、一式まとめて若い新たなキャストで映画化してみてほしいなあとも思います。

機会があったら読んでみていただきたい、幸せな気持ちになれるマンガです。
おすすめでーす。