上原きみ子 著「天使のセレナーデ」のこと

こんにちは。
「何か書きたい」という今日のキモチを満足させるため、スマホの写真や電子書籍のライブラリを探して選んだ本日のネタは…
上原きみ子先生の「天使のセレナーデ」
です。
電子書籍の購入日を見ると2012年の11月と、私の購入履歴の中ではかなり早い方です。
当時、どれだけ読みたかった(読み返したかった)のかがわかります。

 

 

「天使のセレナーデ」の初出はと調べてみると、まずはこのマンガのwikipediaが無いことに気づきます。
私が持っている秋田書店版のコミックス全2巻のマンガの最終ページには上原先生の手書きの
「S48.6.27」
の文字があるので、私が10歳にも満たないうちには終わっていたと気づき驚きました。
当時は小学館の週刊少女コミックで1972年第48号から1973年第31号に掲載されたそうです。
その頃からマンガ雑誌を買って読んでたのか、あたし。

物語の舞台は、ヨーロッパの南にある「ライン国」。
川を境に、東と西で国が分かれて対立をしていました。
主人公の少女ロッティーと少年ジャーニは、まだ規制が厳しくない頃にこの川岸で出会います。
ロッティーは西ライン、ジャーニは東ラインの子。
ロッティは、14歳になったら2歳年上のジャーニを追いかけて東にある名門校「リーブル音楽学院」に入ってジャーニにお嫁さんにしてもらう約束をします。
しかしある日、川は埋め立てられ、高い塀が築かれて、国民は完全に東と西に分けられてしまうのでした。
そして7年後のリーブル音楽院でのロッティを中心に、話が進みます。

リーブルで出会う、西の生徒会長天才ピアニストカール、東の生徒会長のジョー。
意地悪な東の女王アン。西の寮で同室で仲良くなるカレンナとミリア。
学院はすべて東と西で分けられていて、学生の心にまで壁があることをロッティは痛感するのです。
そしてジャーニが学校にいないとわかって失意のロッティは、

ライン国が
西と東にわかれて
いるのなら せめて
このリーブルだけでも
西 東のへだてのない
平和な学校にしよう!

と自分の目標を見つけるのでした。

しかしその後学園でジャーニを見つけることとなるロッティは、そのとき既に他の男子と公認の仲です。
ジャーニにもいいなずけがいることを知りロッティの気持ちが揺れる中、同室のミリアが東の男子生徒と偽の通行証で壁を突破しようとして二人銃殺されるという事件が起こります。
そして…

みたいな。

昔のマンガで、
意地悪には握手の手の中に刃物を隠してるし、
あっちもフィアンセ、こっちもフィアンセ、
僕は女の子より男の子のほうが好き?とか、
実は血が繋がってました、とか
女装の麗人登場、
とか。
もう目が離せなくて、毎週次が楽しみだった記憶があります。

 

 

このマンガの掲載当時のドイツは、まだ東西に分かれていました。
ベルリンの壁が崩壊したのは、1989年11月のことです。
上原先生が「天使のセレナーデ」を描きあげた昭和48年は1973年なので、壁崩壊から16年も前のことになります。

私が先日テレビで見た、NHKの
「ロックが壊したベルリンの壁 アナザーストーリーズ 運命の分岐点」
では、壁崩壊の2年前にデヴィッド・ボウイが西の壁近くで行った野外コンサートでスピーカーの一部を東側に向けたエピソードを紹介していました。
音楽が規制されていた東側では流れてくる西の音楽に大騒動になり、不満のガス抜きのために公式に企画されたブルース・スプリングスティーンのコンサートには若者が殺到しました。
もう止められない、そんな流れを作ったのは音楽でした。
東の人々が音楽を渇望し、こっそり西から持ち込まれた闇のカセットテープがコピーを繰り返されて人々の手に渡っていたくだりには、心を掴まれました。
人が生きていくには、音楽が必要なのです。
そういえば昔からの辛い労働も、人は労働歌を歌うことで乗り切ってきました。

この「天使のセレナーデ」も、常に音楽がストーリーのバックにあります。
番組を見て、このマンガを思い出し、上原きみ子先生の凄さを改めて感じたものでした。
私はあとから、上原先生が子どもを育てながら、また家の嫁として働きながら、必死でマンガ描いておられたと知り、それもまたすごいと思ったものです。
他のマンガ家さんがスクリーントーンを使っても、かなりの長い間上原先生は効果を手書きで描いていました。
何から何まで飛び抜けている上原先生は、今も大人気の長編マンガを執筆中です。

 

 

というわけで、
今日は「天使のセレナーデ」のお話でした。

次は、やはり上原先生の代表作
「ロリィの青春」
のことも書かねば。
そんな気合いの入った本日でしたー。