【ネタバレ】稚野鳥子 著「月と指先の間」

こんにちは。
今日のご紹介は、マンガ「月と指先の間」です。
以前に女性マンガ誌「Kiss」を購入していたときに途中までは読んでいたマンガです。
先日一巻が無料になっており
「おお、これこれ」
と案の定残りの3巻も一気に買ってしまいました。
元々何回か購入を考えたマンガだったのです。

 

 

作者の稚野鳥子さんのお名前は、「ちやとりこ」と読みます。
長いこと「ちのとりこ」さんだと思っていました。
今日これを書くときに一発変換で出なかったので、「私が読みを間違えてるのか?」と調べたら果たしてそのとおりでした。

稚野さんは女性マンガ誌「ぶ〜け」ご出身だそうで、私も読んでいたものの作品の記憶はありません。
おそらく、苦手そうだと飛ばしていたのかと思います。
今回の「月と指先の間」は連載開始から読むことができて、
「このマンガはすごいぞ」
と前のめりに読んでいました。
私の中で、当時の掲載作の中で一番です。

コミックスは4巻で完結しています。
主人公は、55歳の少女マンガ家「御堂アン」です。
マンガではシワひとつないので、美魔女の部類です。
Amazonのレビューで絵と年齢の乖離が気になるとの感想が見受けられましたが、私はこのマンガの顔が正解だと思います。
昨日、テレビで「翼の折れたエンジェル」の中村あゆみさんを見て
「美しいなあ」
と思い調べてみたら55歳でした。
ああして現存するので、ファンタジーではありません。
ただし、芸能人の方や「マンガ家」という特異な職業でなければそこまではできないかもしれません。
努力だけでは行き着けない、お金をかけての世界。
有名マンガ家さんは、それができるわけです。

そんなマンガ家さんのお金事情や、業界裏事情を細かく知ることができるのが、このマンガの魅力の一つです。

御堂アンの彼は編集者時代から付き合っている、既婚者の現出版社局長です。
そこにもう一人、編集長の黒月がアンに絡んできます。
彼はアンの元担当で無表情の変な人ですが、実は中学生時代からアンのファンなのです。
この、黒月とのラブストーリーや彼との三角関係が話の中心になります。

ここから大きくネタバレするので、これから読む気のある方は読まないでくださいね。

 

 

私がこのマンガを読み終えて驚いたのは、
「そう来たか」
と大きく期待を裏切られたことでした。

アンには、若く真っ直ぐな黒月を選んでほしかった。
でも彼女は最終巻の最後で、離婚をしてきた定年間近の局長の彼を選びます。

連載当初、コミックスでは1巻の2話で、黒月と、アンと、それぞれが別のシチュエーションで
「マンガを続けられる理由」

「業に近い」
と考えます。

そして4巻の最終話では、黒月とアンの別れ話の最後に黒月が、
「そんなに漫画が大事ですかっ」
と声をあげます。
はっとする黒月。
なにかに気がついたように目を見開くアン。
漫画家の業がわかっている黒月には、自分が発したこの言葉が終わりの決定打とすぐに理解できたと思います。

そして、このマンガは、ラブストーリーを軸にしているものの、
「マンガ家の業」
を描いたものなのかなあと勝手に私は思ったわけです。

 

 

さて、このマンガでは、マンガ家さんたちがみんな仲良しです。
楽しいテンポで進むマンガ家さんたちの会話もまた魅力です。
最高齢のアンの自立した大人の人格あっての空気感かもしれません。
居心地のいいマンガです。

ごく簡単でしたが、「月と指先の間」のご紹介でした。
私は、これすごくよかったです!