ニコ・ニコルソン著「ナガサレール イエタテール」を読んでいます

こんにちわ。
本日は、マンガ
「ナガサレール イエタテール」
の紹介です。
2011年3月11日、宮城県山元町の実家が津波で流された東京在住のマンガ家ニコ・ニコルソンさん(日本人)が、お母さま、お婆さまと一緒に新しく家を建てるまでのお話です。

この本は、数ヶ月前のある日に
「あなたがフォローしているこのマンガが今安いですよ」
と電子書籍ストアからメールが入ったので、すぐに購入したものです。
私はなぜこの本をフォローしたのか記憶になかったので今回見てみたら、過去にブログ友達さんが紹介されていたと判明しました。
いつもすみません、お世話になっておりますm(_ _)m。

 

 

ニコさんの実家がある山元町は、私には2つの小さな思い出があります。
一つは、東北物産展で出会った山元町のイチゴスイーツが大変美味しく、またそのボリュームから
「良心的な価格!」
と感じたからです。
そのとき、
「山元町の方、いい人すぎないかい?」
と思いました。

たったひとつのことを広げてしまうのは私の悪い癖です。
しかし東北の人に優しい人が多い気がするのは、過去に出会った方々のお人柄から間違ってはいないと私は思っています。

もう一つは、数年前に福島県相馬市に行ったときのことです。
新幹線から仙台回りで、在来線を海沿いに下りていきました。
私はGoogleマップで現在地を表示しながらずっと窓から外を見ていました。
右も左も新しい家ばかりの景観に、胸が詰まる思いでした。
そして、途中で現在地表示が線路を外れた場所がありました。
マップが古い線路のままの地図だった、あれが山元町だったかもしれないと今ぼんやり思っています。

さて、「ナガサレール イエタテール」に戻って、主な登場人物は
・母ルソン(56)
・婆ルソン(81)
・ニコ・ニコルソン(著者ご本人)
です。

東日本大震災で母ルソンと婆ルソンは家ごと津波に呑まれ、2階へ避難して命をとりとめます。
翌朝の窓の外には、ほかにも流された、知らない家がご近所に来ている状態でした。

心配するニコルソンはその後2人と再会し、行動を共にします。
混乱し、家に戻りたいと繰り返す婆ルソン。
怒り、嘆息し、決断する母ルソン。

そして、家を建てることになります。

 

私がこのマンガに心を動かされたことの中から、以下をご紹介します。

◼️息をのむ非日常の描写

これは いたって
フツーの家族の

復興までを
まんがに描いた
やつです

上記は、第一話の最後のコマの一文です。

命は助かった母ルと婆ルが避難するとき、がれきや大木を乗り越える中その視界にはご遺体もあります。
また、その避難の前に2人はお隣を呼びに行きましたが、お隣さんは既にお亡くなりになっていました。

後日、土砂も流れ込んだ自宅の中で貴重品を探していたニコルと母ル。
そして顔を出した自衛隊の方からの一言で、家の土砂の中にも
「まだ見つかっていない方」
がいらっしゃる可能性に気づくのです。

それは、ニコルや母ルの思う、
「いたってフツーの家族」のヒトコマなのです。

「いたってフツー」という言葉を選んだ当事者の気持ちを想像しますが、当然わかりません。
外からは心配しているつもりでも、現地の気持ちはわかりません。
このマンガの途中で、母ルが「善意」への違和感を口にするページは出色です。

私は、自分が対面やSNSなどで、善意のふりをして東北や熊本の人を傷つけた記憶(あとから気づいた)を思い出しました。
うーん、叫びたい。

日常と非日常。
併せて心に染みたのは、地震当日のニコルが母ルと婆ルの生存確認をできなくても眠れた自分にビックリする翌朝の描写です。

そしてその昼、ニコルは心配した友人に連れ出されてランチに行き、ペスカトーレを美味しくいただきます。

身内の弔事で、
「悲しくてもお腹はすくんだ。」
と気づいて驚く人は少なくないのではないでしょうか。
私もその一人でしたので、ランチのコミカルな1コマに釘付けになりました。

◼️母ルと婆ルが魅力的
母ルと婆ルの2人だけではなく、リフォームの三井ホームご担当者さんやニコルの友人たち、変な医者、などみんなが生き生きした愛すべきキャラクターとして描かれています。

一見荒く見えて好みが分かれるかと感じた絵柄は、実はとてもお上手で(僭越!)登場人物はキュートです。
特に婆ルの可愛さは、たまりません。

私は、この他に講談社から出ているという
「わたしのお婆ちゃん」もフォロー中なのです。少しお値段が下がったら、購入させていただきます(定価で買わなくてゴメンナサイm(_ _)m)。

そして、婆ルがキュートだとか母ルがかっこいいとかそういうのを越えて、マンガの端々から
「血の絆」
を感じました。
母親のために家を建てることを決意した母ルが、婆ルのことを「一心同体」とニコルにいいます。

「親子三代、血の絆」。

そして、地元で住み続けることは、
「先祖代々血の絆」、
でもあるのですよね。

◼️情報量が多いマンガ
「ナガサレール イエタテール」というタイトルなので、家を建てようとする中で直面するトラブルや家族内の意見の違い、従わねばならないルールの実際などが中心に描かれます。
家を建てようという人に汎用性のある情報でもあり、津波が来る地域で家を建てるということならではの情報も多々あります。

一つ一つのコマは小さくはないけれど、絵や書き文字を効果的に使われて、ニコルソンさんが伝えたいことが綺麗にパッキングされているように思います。
なので、情報量が多いと感じるのかもしれません。

ざっと読んだだけではまだ、全部読めていない。
という、お得感もあります。

 

 

ところで今回3回目を読みながら気づいたことは、
「海沿いの家に長く住んで地震のあとに津波が来るのは知っているのに、母ルと婆ルの2人は外からわざわざ家に帰って津波にあっている」
ということでした。

やはり宮城県在住のアベナオミさんの
「被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40」
のエピソードも思い出します。
アベさんは311の地震のあと、車に子どもを乗せて、塩釜港近くの会社に勤めるダンナ様を迎えに行くのです。
渋滞するであろう海側ルートを軽い気持ちで避けたことが、後から思えば命拾いの理由でした。

防災の観点から、非常時の行動について考えさせられます。
地震が来たら津波が来る、子供の頃から教育されてきたはずの人たちでさえ、その場になったら頭から抜けることがあるのです。

自分は冷静になれるか。

うーん。

そういえば、ニコルが東京のジムで柔軟中に地震にあったときに、
「隣のオバサンの一言で冷静になれた」
というシーンも、奇しくも描かれていました。

なお先に書いた、婆ルと母ルが
「わざわざ家に戻った」り
「家を建てることができた」り
したのは、
この家族にとって常に
「家」
が特別だったからかなあ、と、
これも後から思いました。

 

 

「ナガサレール イエタテール」のマンガの帯には
「NHKあさイチ で紹介!大注目!!」
と大きくPRされていました。
確かに、大注目されてほしいマンガでした。

本編の途中に入るコラム「niconicolumn」の
「6津波に耐えた食材たち」
の2ページは、これから本格的に「ローリングストック」を実施しようと思っている私にはリアルな情報でした。
これまでどこかに文字で書いてあったかもしれないけど、わたしの頭からは流れ出ていたようです。
でもこうしてリアリティーをもって絵で紹介されたら忘れられません。
ここで一言で伝えられることですが、それはマンガを読む方のためにここに書かないことにします。

読めば読むほど考えることがある、
「ナガサレール イエタテール」。
ニコ・ニコルソンさん曰く
「すごく内輪」
でありながら、
この災害列島日本で長いスパンで見たときには
「普遍的」
といえる作品だと思います。

どこかで見かけたら、手にとってみていただければ幸いです。