西餅 著「僕はまだ野球を知らない」を読んでいます

こんにちわ。
今日は、マンガのご紹介です。
私は、以前にマンガ「ハルロック」をご紹介しました。

西餅 著「ハルロック」というマンガが好きです

今回は、同じ作者の西餠さんの連載中の作品
「僕はまだ野球を知らない」
です。
今回も、そこそこネタバレでございますのでご注意ください。

 

 

「僕はまだ野球を知らない」は、2017年から講談社モーニング・ツーで連載中で、既刊4巻の野球漫画です。

主人公は、東京都立浅草橋工業高校(以下浅工)の物理教師 兼 野球部部長の宇佐智己(うさ ともき)です。
監督が持病で入院したことをきっかけに、
「監督も復帰の意思はあるもののお年なので」
と、宇佐が野球部監督に任命されます。

監督になった宇佐は、かねてから勉強していたセイバーメトリクス理論を使って、浅工の弱小野球部を勝たせたいと奮闘します。

「セイバーメトリクス」は、野球についての統計学的な分析方法です。
宇佐は、子供の頃から野球が好きですが「投げる捕る打つ」がまるでダメでした。
ひとり戦略を考えることでのみ、野球と繋がっていました。
仲間はいなかったのです。
仲間になれなかった、というのが正しいかもしれません。

監督としてのはじめての試合のベンチで宇佐は、

なんというか
子供の頃の自分が
喜んでるっていうか

と、セイバーメトリクス実施の協力者である河原崎先生に嬉しそうに伝えます。
私は、なんでもないこのセリフが大好きです。

なおこの浅工の河原崎先生は、電子工作マンガ「ハルロック」で晴をバックアップする河原崎先生と同一人物です(多分)。

 

さて、既刊4巻で、私が好きだった点は以下のとおりです。

◼️主人公宇佐のスタンス
宇佐は、野球部員に対等に向き合います。
優しい人ですが、ダメだと思うことはハッキリと伝えます。

自分がヘボ投手と自覚している水巻くんの前で、優秀な一年 ショートの直井くんが

今 現実には
このチームの
投手は棒球Pと
野手投げP

これで
勝てるわけ
ないじゃない
ですか

現状見ないで
いいこと言いすぎ
なんですよ

と宇佐に反発します。

対して、宇佐は直井くんに

どうして
そんなこと
言うんですか
……
可能性とやる気を
奪ってしまうのが
どんなに酷いことか
わかっていますか?

否定は
容易いけれど
何も生み出さない

周りに
受け入れられて
いる人間は

びっくりする
くらい力を発揮
できるんです

と伝えます。

(監督ができることが嬉しくて舞い上がって失敗したりどこかズレてたりする以外は、)
冷静な大人として適切に人に接する宇佐の性質がわかる場面だと私は思いました。
当たり前だけど、なかなか難しいことです。

…いや、「どうして」って言葉を使っちゃうあたりは、ちょっと冷静ではなかったかなー?
というか、少し怒っている?。
宇佐は、直井に伝えながら実は誰か他の人に向けても気持ちを伝えているかもと、読み直して思いました。
宇佐の野球へのやる気を奪った、父親でしょうか。
勝手な深読みでスミマセンf(^_^;。

また、リーダーとしての1つのあり方を見ることができたモノローグもありました。

監督の肩書きは
自尊心を満たすために
あるものじゃない

僕の役割は
後ろで目いっぱい
選手を支えること

プレイができない(下手)、プレイ経験のないマネージャーが指導をするわけです。
そんな監督のスタンスとして、
「支える」
という言葉に共感を感じました。

◼️宇佐と部員の成長
宇佐は念願かなっての監督業に舞い上がり、部員の気持ちを把握できず、まずは失敗します。

しかし、素直に謝り、新たな方法でチームと関わり、前に進みます。

「話さないと相手のことはわからないし、わからないと受容の環境は作れない」
と、晩白柚風呂でミーティングしたりします。
(熊本ファンとしては嬉しい限りです。)

問題にぶち当たったら、解決します。
部員の食の質が良くないことに気づき、友人の管理栄養士さん協力のもとに、希望する部員を自分の家に下宿させました。

そして、練習試合2試合目では上級生も下級生も関係なく遠慮なく、フラットに指摘しあえるチームになっているのです。

部員の急成長で、サクセスストーリーの快感も得られる作品です。
そして、4巻の最後には、思わぬ方向へ話が進んでいきました。ワクワク。

◼️生徒にもそれぞれのドラマ
名門シニア出身なのに有名高から声がかからなかった直井くん。
シニアで野手転向を強制された双子のピッチャー入谷奨馬・蒼馬兄弟。
自他共にヘボ投手と思っていた水巻くん。
生活困窮のためのアルバイトで仲間に真剣さを疑われ、一時は信頼を失いかけた春日くん。
それぞれがいまに至るドラマがさらっと語られます。

特に、水巻くんはフィーチャーされています。

ヘボで弱気な自分を責めていた水巻くんは、この浅工で、宇佐の指導のもとで、
「弱さにいいも悪いもない」
「今怖いと感じている、でもそれはただそれだけのこと」
とマウンドで思えるようになりました。

怖いことを認めて怖いまま投げることができるようになったのは、
宇佐が水巻くんを肯定して、
あるがままの水巻くんを前で認め、
それを本人に伝えたからです。

机上の空論を積み上げてきた宇佐が、やっとその強い思いを表に出せる状況になりました。
「がんばれー!」
とつい母性で応援してしまうわたくしでした。

◼️西餅イズム
ちょっとしたヒトコマが笑えます。
私にはツボです。
永遠に読んでいたいです。
なので西餠さんも、追いかけ続けます。

若い頃の私にユーミンが恋愛の巫女だったように、西餠さんは今の私の笑いの巫女です。

 

 

実は私は、野球は詳しくありません。
そして、大して好きでもありません。
でも、野球の部分を軽くすっ飛ばしても、このマンガは面白かったのです。
ハルロックも、同様です。
電子工作もよくわからないけれど、やはり軽くすっ飛ばしても面白かったです。
なお理解しきれていないからこそ、何回読んでも面白いという面もあります。

この「僕はまだ野球を知らない」で語られるセイバーメトリクスも、今どういう位置にあるものなのか分かりません。
そのため、このマンガが全くの夢物語のファンタジーなのか、現在より少し先を描いているのか、まさに今なのかもわかりません。
でも、
「西餠ワールドに入れればそれでいい」
という楽しみ方をしています。

つまり私は、このマンガを芯から理解しようとしていなーい!
ご紹介しようなんて、僭越で恐縮です。
気分はジョイマンです。
誠にスイマメーン!

なので、本当に野球を好きな人はこのマンガをどう楽しめるのか、興味があります。

 

マンガの第一巻には、セイバーメトリクスについて以下のエピソードを紹介するコマもあります。

セイバーの考案者
ビル・ジェームズも
最初は全く相手に
されなかったという

「プレイヤーじゃ
ない君に
ベースボールの
何がわかるんだい?」

今日この本を思い出したのは、先日、元ヤクルト、楽天の野村監督の訃報が報じられたからでした。
野村監督のID野球も、はじめは理解されなかったのかしら、と思いました。

野村監督が楽天を指揮していたとき、毎朝一面を飾るぼやき節を見て、
「監督は野球界全体のことを考えているんだなあ」
と尊敬していました。
サッカーが、相撲が、芸能人の結婚離婚がスポーツ紙の一面を飾るライバルという中で、野村監督の言葉は毎日のように一面に輝いていました。
「今日も野球の勝ちかー」
そう思ったものです。

「僕はまだ野球を知らない」4巻の最後では、宇佐が広い視点で先に進む提案をします(誰に?何を?それはナイショです)。

目先の自分の利益を考えるのではなく、みんなで前に進んでいこうというその姿勢に感動します。
そして、よく知らないながら野村監督もそういう方なのだろうと思いました。

今日は、私の中での野村監督つながりで、「僕はまだ野球を知らない」
をご紹介しました。
もし気が向いたら、お手にとっていただけ)ば幸いです。

そして作者の西餠さんは、わたくしすべての作品がおすすめです。ぜひー!。