ついに「月影ベイベ/小玉ユキ」を読みました

こんにちわ。
前回私は、小玉ユキ先生のマンガ「青の花 器の森」をご紹介しました。

小玉ユキさんの「青の花 器の森」を読んでいます

その際、
「何かで打ちのめされて気持ちが辛い日が来たら小玉ユキ先生のマンガを一気買いしちゃおう」
というようなことを書きました。
そしてすぐの昨日、
「今日、いいんじゃない?」
という気になったので、まずは
「月影ベイベ」
を大人買いして読みました。
本日は、その本のご紹介です。

 

 

「月影ベイベ」は、小学舘の月刊Flowersで連載されて全9巻完結のマンガです。
富山県八尾地区を舞台に、「おわら」をモチーフに人間模様が描かれます。

そう書いたところで、
「おわら」って何?と思いました。
由来とか語源とかじゃなくて、何を指すのか。
ぼんやりと、「踊り」であり「唄」であり「演奏」であり「祭」なのだろうかと感じていましたが、ざっとネットを調べても正解を見つけられないので、次にマンガを読み返すときに登場人物がどう「おわら」という言葉を使っているか意識して読んでみようと思います。

さて、主人公は東京から富山県八尾町に転校してきた「峰岸蛍子」です。
八尾(やつお)出身の母に「おわら」の踊りを教わっていたものの人前で踊ったことがなかった蛍子が、学校で、地域で、「おわら」の世界に入っていきます。
人見知りの蛍子の面倒を見るのが、高校の同級生男子の「佐伯光」、女子の「松井里央」です。
そして、蛍子が何故か光のおじである「円(まどか)」を知っていて、また円を好きであることが早々に判明します。

私は、たぶんこの辺の単行本1巻くらいまでを雑誌で読んで、そのままになっていました。
そしてなんとなく淡白なマンガのイメージで思い込んで、その先を読まなかったことを今回後悔しました。
読んでみたら、このマンガ、やっぱり良かったのです。
wikipediaで知りましたが、2014年度このマンガがすごい!オンナ編第3位に選ばれていたのですね。納得!。

以下は、「私がしびれた月影ベイベ」です。

◼️全編にわたる方言のセリフ
連載開始が2013年で、ちょうどその頃に私は富山県の方とお話をする機会がありました。
お願いするときに語尾に「れ」がつく言葉が、なんとも優しく、洗練された歌のようなのです。

例えば第一巻から、
「峰岸さんはそのへんてきとうに見とられ(光)」
「待ってかれ もう一枚焼き直してみるから(円)」
「あの子 とんでもない嘘つきながよ みんな気いつけられ(里央)」
「なあ これかぶって踊ってみられ(光)」
なーんてセリフがいっぱいあります。
男性も、やっぱり「~れ♪」を使われるのです。素敵。

昔誰かが評論で絶賛していた、松田聖子さんの「チェリーブラッサム」の財津和夫さんのメロディのような、不安定な心地よさで言葉が離陸していくのです(←「離陸」の表現はパクリです。その評論をもう一度読みたいものです)。
「月影ベイベ」読み返しのときは、セリフの語尾を拾ってみようと思っています。

◼️青春からの多数の胸熱テーマ
はじめのうちは、
「わあ、青春~」
「こんな楽しい青春したかったー」
と思っていました。
しかし、地域で伝承していく文化がテーマの中、マンガの人間関係はおじさんから親子、孫と縦横に広がりました。
何回か、泣いてしまいましたよー。

◼️祭「おわら風の盆」への誘い
マンガの各巻末には、おわらの踊り方や地図などの情報がありました。
しかしストーリーを追う1回目にはもどかしく、私はすべて飛ばしてしまいました。
その中で、各町の特徴を書いた情報があり、
「これはすごい」
と息をのみ、以前にご紹介した「くらやみ祭ってナンだ」の本を思いだし、わけもわからず
「これが祭だー」
と心に刻みました。
「月影ベイベ」第8巻の巻末
「かきおろし おわら風の盆 十一支部案内」
でした。

また、マンガの中では、伝承される祭の重要な情報がさりげなくセリフで表現されます。
第一巻では、笠を被らないと緊張してうまく踊れない蛍子が「笠を貸して」と里央に頼むときに、名もなさそうな女子学生が言います。

峰岸さん

この笠は
代表で衣装着る
人だけが
かぶるもん
やから…

第九巻で「おわら風の盆」当日に里央を見て蛍子が驚くシーンでは

あれっ
里央

前に着てた
衣装と
全然違う

ああ
これね

鏡町の
中高生は
ほんまは この
衣装なんぜ

高校卒業して
青年団に入ったら
正式にあの
衣装着られん
がやちゃ

あれ着て
おたや階段の
下で踊るがが
小さい頃からの
夢なが

そのすぐあと、高校の「おわら5」という光も属する5人組が踊るシーンでは通りがかりの人たちが光たちの法被の背中を見て

おっ
なんや
なんや
どこの町…

あれ?
みんな
紋バラバラ
や…
どういう
こと?

うちの高校の
仲良し
5人組で
おわら5
いうんです

普通は
別の町の子は
一緒に
踊らんが
ですけどね

へー

なんてやり取りもあります。

このシーン、小玉先生の手による「おわら5」の踊りがかっこいいのです。
この5人も、大人になり、子どもを作り、孫ができ、おわらを引き継いでいくのだと長い時間を思ったシーンでした。
9巻は、物語のグランドフィナーレに相応しい特に素晴らしい巻でした。
八尾、行くー!

 

 

ところで、小玉先生の「青の花 器の森」でも感じたことで、小玉先生の描く中高年、老人の絵には嘘がないと私は思いました。

年をとると、痩せている人でも顔の肉はたるみ、顔に皺さえ描いておけば老人というものではないようです。
「青の花 器の森」の職人さんたちや、「月影ベイベ」のおじさんたち、お祖父さんたちの素敵さにも、私はしびれています。

 

 

私は以前にも、「富山に行きたい」と書いていました。
(読み直して、こんなことを書いていたのかとビックリしました)

【富山県】ここ数年行ってみたい県

「月影ベイベ」を読んだら、こりゃ一層行きたい!

知らない町をわかりやすく教えていただけたこのマンガに感謝です、
そして、つい泣いてしまうような、小さな感動をいくつももらえて、気持ちがリフレッシュできました。

あとは「月影ベイベ」の実写化を楽しみにしつつ、このあとまた繰り返し読みたいと思っています。

オススメでした!
次は「坂道のアポロン」だー!(*≧∇≦)ノ