小玉ユキさんの「青の花 器の森」を読んでいます

こんにちわ。
先日、小玉ユキさんのマンガ「青の花 器の森」の4巻が発売されました。
この機会に、この本をご紹介したいと思います。
ネタバレになりますので、ご注意ください。

 

 

小玉先生のマンガでは、初めての連載作品である「羽衣ミシン」を以前にブログでご紹介したことがあります。

【小玉ユキ/羽衣ミシン】私が読んだ服飾マンガ(その3)


私はまだ読んでおりませんが、他に「坂道のアポロン」や「月影ベイベ」などの有名な作品を手がけておられます。

今回の「青の花 器の森」は長崎県の「波佐見焼」の窯元を舞台にした作品なので、私は前から気になっていました。
波佐見焼って、人気でかわいいけど特徴がわからない。
そんな不思議な焼き物だったからです。

主人公は、生まれ育った波佐見の窯元の社員で、絵付けを担当する31才の「青子」です。
ある日入ってきた、無愛想な新人「龍生(たつき)」との関係が変わっていく様子が描かれます。
その間を取り持つのが、互いの才能への敬意と二人の創作物である器です。
龍生が形作って、青子が絵付けをします。

物語の中では、フィンランドで作陶活動をしていた龍生が持つ傷、数年前男性に裏切られた青子の傷が、巻を追うごとにあきらかになります。

ざっくりと、
第一巻は二人のぎこちない関係が、
第二巻は龍生の傷が
第三巻では青子の傷が、
第四巻では青子が傷に対峙し乗り越えて、龍生と互いを意識し始める、
ところが描かれています。

波佐見焼観点からすると、
第一巻では「波佐見焼ってなあに?」~一輪挿しの共作
第二巻では「量産するってどういうこと?」~皿の共作
第三巻では「量産作業の様子」
第四巻では、「絵付けありき」の鉢の共作~師匠の助言
が描かれます。

第三巻は、焼き物情報は薄めです。
第二巻では、社長が運転する車で龍生と青子を連れ出す「社会科見学」のくだりがあり、私はここが大好きです。
自分の器を量産するなどあり得ないと思っている龍生が、「型屋さん」「生地屋さん」「絵付け用のはんこやさん」を回り、見学するシーンです。
中でも型屋のおじさん「一美さん」が龍生の器について

実際に
やるかやらんかは
別にして

これを元に
量産の型を依頼されたら
どうするかだけ
言うぞ

と、器の各箇所を量産のために歪みや割れが起こりにくくなる修正の方法を語ります。

無理のない
丈夫な形を
作らんと
いかんのよ

丈夫さと
美しさが
両立する
一番いい形を
見つけていく

そのあと一美さんが宣う名言も私は大好きですなのですが、そこはぜひマンガでお読みくださいm(_ _)m。

ところでこれを書いていて思い出したことがあります。
昔、高校の同級生が教えてくれた、彼女のバイト先のケーキ屋のオーナーの言葉でした。
「プッチンプリンには、どうしたって敵わないんだよ」
と仰っていたそうです。
異論もあることとは思いますが、私の心に長く残っていたエピソードでした。

 

 

私が少しだけ読んだことがある、小玉先生の「月影ベイベ」でも、富山市八尾地区を舞台に人の繋がりや優しさが見えました。

この「青の花 器の森」でも同じように温かいと感じて調べたら、小玉先生は長崎県佐世保出身なのです。
坂道のアポロンも、佐世保が舞台と知ったので、まずは映画版「坂道のアポロン」を見たいと強く思いました。

 

 

小玉先生のマンガは、私には地味で白っぽく見えます。
雑誌で数ヶ月読んでからずっと気になっている「月影ベイベ」が買えないでいるのも、絵が「みっしり」詰まっているようなコスパは期待できないからです。
なかなか大人買いできず、まず一冊ものの「羽衣ミシン」を買ってしまったのでした。

でもやっぱり、読後に残る心の温かさを思うと
「小玉先生の他の作品も読みたいぞー」
という気持ちになります。

また、1巻の何気ない1ページが気になっていたら、数巻あとで
「あれが伏線」
と驚いたところがありました。
なんとも自然に物語が進む中で、実は筆力画力があえて隠されているのだとも感じました。

そのうち、何かで打ちのめされて気持ちが辛い日が来たら(私にはよくあることです)、「坂道のアポロン」「月影ベイベ」を一気買いしちゃおうと心に決めた本日でした。
波佐見焼も、チャンスがあったら見に行こーっと(*≧∇≦)ノ。